内部告発者 (角川文庫 た 55-1)内部告発者 (角川文庫 た 55-1)
(2008/04/25)
滝沢 隆一郎

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感想:★★☆☆☆

高杉良氏絶賛!
という帯のコピーとタイトルが最近の注目内容だったので手に取りました。
ちょっと告発内容がわかりずらかった感と絶賛というわりに?でした。

出版社/著者からの内容紹介はこちら...
STORY 二〇〇三年、五大グループへの再編を終えた損保業界。
中堅の渋谷火災(略称シブカジ)を揺るがす事件が起こった。
同社の内部資料を入手した経済誌が、不正融資を暴露したのだ。
雑誌には、同社が子会社を通じ、闇金融にも資金を融資する卸し専門のファイナンス会社への資金提供をしていることが暴露されていた。
記事を証拠づける資料として、最高経営会議議事録のコピーと思われる写真まで掲載されていた。
社内中枢部からの内部告発は明らかだった。
法王と畏怖される渋谷火災会長・藤田想太郎は、前副社長の仲田希一が内部告発したに違いないと、損害賠償請求を起こす。
仲田は潔白を主張し、若い弁護士羽根田潤とともに渋谷火災との闘いに挑んだ。

損保業界をとりあげていますが、もっと最近あった食品の偽装とか読者にとって身近なものにして、とことん内部の闇の部分をだして、最後の最後まで会社と闘う姿を描いてほしかったなぁと所々消化不良感が残りました。
ちょっと久々の辛口コメントになってしまいましたね。
内部告発者 最初の1/3くらいまではどうなるんだろうと展開が読めませんでしたが、中間にかかると元副社長と弁護士と会社とやりあっていく展開になり、さっと最後まで読めた感はありました。
ただ取材不足かそれとも作者の社会経験などの不足もあり、なんか客観的に描かれているようで感情移入は出来ませんでしたね。
内部告発をした真犯人は伏線がわかりやすく描かれているので、わかると思います。
まぁ、最近の時事をとりあげた作品として軽く読む感じでいきましょうか。


なるへそ

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2008.05.18 23:41 Sun l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)
(2008/04/25)
森 絵都

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感想:★★★★

掴めたような気がした。
生きるということの尻尾を。
森 絵都が大人たちの世界を初めて描いた、ハートウォーミング・ストーリー。

森 絵都先生からみれば、挑戦的な試みの作品でもあり、でもやっぱり森 絵都の作品の1つといえる、とっても魅力的な作品でした。

あらすじは、
柏原野々は天然石を売る店で働く25歳の独身女性。
厳格な父の教育に嫌気がさし、成人を機に家を飛び出していた。
その父も亡くなり、49日の法用を迎えようとしていたころ、生前の父と関係があったという女性から連絡が入る。
世間一般にはありふれたエピソードかもしれないが、柏原家にとっては驚天動地の一大事。
真偽を探るため、野々は父の足跡を辿るのだが...。
父がもらしていた「私には暗い血が流れている」という言葉。
「暗い血」とは?なんのことなのか、森 絵都が描いた心温まる長編小説。

今までと違い主人公が悩む“性”についても、迷いなく切り込んでいて、最初は世の中たしかにきれい事ばかりじゃないって事はもちろん知っているけどでもあえて今回この作品を描いていこうとしたのかわかりませんでした。
でも、父の故郷:佐渡の情景や最後の「いかいか祭り」にふれていくうちに、わかりました。
いい事も悪い事も肩の力をぬいたようなすんなり入っていけてしまうのが、よかったです。
悩んでいることを厳格な父のせいにして、実は自分から逃げていた兄弟たち。
自分も含めこの主人公たちもいつかパラソルの下でのんびり人生を味わっている姿が最後に不思議と目に浮かびました。

最後にあえて気に入っているのが、兄が彼女にいわれた罵声の内容がなんかぐさっときましたね。
じつはこの前、俺、5つも下の彼女にすげえ罵倒されたばっかりでさ。
親父のせいで俺の人生が狂ったとか、またいつもみたくぐちぐち言ってたら、いい年こいて自分の人生を親のせいにすんな、20代の半ばも過ぎたら自分のケツは自分でぬぐえ、って。
あれは、こたえたなあ

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2008.05.09 23:12 Fri l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
人事権! (講談社文庫)人事権! (講談社文庫)
(1995/02)
高杉 良

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感想:★★★☆☆

主人公:相沢は中堅損害保険会社、秘書室次長、石井会長付です。
会長の趣味である絵をもとに、個展を開き信頼を得たにみえたが、取引先であるN証券の田端社長に絵をゆずったお礼にもらった1,000万円の商品券を贈られ、それを先方にかえすことができず受け取り、それがきっかけでゴシップ記者が表れ、主人公への印象が悪くなり、人事権をもっている会長は...

大手損害保険会社のトップをはじめ取締役たちの人事権へのかけひき、私の知らない世界って感じがしましたが、主人公の一言でまわりの印象や後々の人とのつながりや行動がかわってくることは、日々の自分たちにも同じようなことがあって、人事権をもっている人って強いんだなぁって思いました。
ちょっと漠然とした感想でごめんなさいね。
会長派とか社長派とかはっきりは、わかれないけど派閥が見え隠れしたり、ときには会社の中での女性という立場の怖さとか表現されてたりと大きな会社で出世していくには、いろいろと気遣いとか先をみたりしないといけないんだなとか思いました。
それでも、主人公は左遷させられても、くさらずなんとか自分の中で仕事を全うしようと翻弄するので、苦労した先にはきっといい人事がまっているんだろうなぁと安直ですが思ってしまいます。
人事権! 商品券をうけとった主人公は決して正義ではないのですが、いろいろ苦労して正しいことをやろうとする姿に応援せずにはいられないでしょう。
ちょっと知らない世界をのぞいてみるつもりで読んでみるといいでしょうね。


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2008.04.19 23:46 Sat l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
観覧車 (祥伝社文庫)観覧車 (祥伝社文庫)
(2005/06)
柴田 よしき

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感想:★★★★

帯にある「めっちゃ切ない...」ってうのに興味をもっててにとってしまいました。

「唯(ゆい)の気持ち。とても、切ない。」
新井素子氏、涙。。。
3年、5年、10年…失踪した夫を待ち続ける女探偵・下澤 唯の物語。
失踪した夫を待ち続ける下澤唯(しもざわゆい)。
夫の居場所を残しておきたい、という思いから探偵事務所を引き継いだのだが、浮気調査など気が滅入る仕事ばかり。
あるとき、行方不明になった男の捜索依頼が舞い込んだ。
手掛かりは白石和美(しらいしかずみ)という愛人。
が、和美は日がな寂(さび)れた観覧車に乗って時を過ごすだけだった。
彼女の心を占める虚無とは?
静かな感動を呼ぶ恋愛ミステリー。
なれない探偵の仕事をはじめ、依頼された調査を解決してもその先に幸せがまっているわけではない...例えば浮気調査や人探しなどなど、真実がわかっても救われない現実が哀しい立場にいる主人公につきつけてくるんです。
そして最初はただ夫は何かの事件に巻き込まれたとか、希望的な感情をもっていましたが、ある時男は嘘をつく事に気づいてしまうんです。
ついてはいけない嘘を...
そして物語の後半ではその確信をつくたために待つだけではなく探す行動にでるんです...

観覧車 現実はつらいことの方が多いってある程度生きてくると分かってくるんですよね。
それでもそんな現実から目をそむけようとしてしまうんです。
この主人公のように、でもその現実をみとめざるをえないことになってくるんですね。

そんな現実をこれでもかっていう感じで訴えてくる短編が前半にあり、そして「終章、そして序章」でとどめをさされるって感じで、とにかくめっちゃ切ない作品を読みたい時はぜひ手に取ってほしいですね。
最後の終わり方がね、賛否両論かもしれませんが、ぜひ続編を読みたいですね


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2008.04.15 00:35 Tue l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
アンタ・・・~俺を教師にしてくれたあの言葉~ (扶桑社文庫 い 17-1) (扶桑社文庫 い 17-1)アンタ・・・~俺を教師にしてくれたあの言葉~ (扶桑社文庫 い 17-1) (扶桑社文庫 い 17-1)
(2008/03/01)
今村 克彦

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感想:★★★☆☆

3/8に放送された「夢の見つけ方教えたる」よかったですねぇ
浜田雅功の演技と個性がぴったりはまってたと思います。
でもスペシャル版とうこともあってちょっと内容が急いだ感じなのが残念でした。
もっとじっくり見たかったですね。

さて、この作品はそんなドラマの原案になった本。
今村克彦さんの教師になりたての頃からその後を綴った作品。

こんな先生おってもいいんちゃう?
そんな大阪弁まじりの問いをいいたくなってしまうほど生徒から見て身近で、でも頼りがいがあって、ずっと自分を見てくれるそんな温かい存在だったことがあふれていました。
教師に赴任した頃は、上に従うだけの先生で、熱い先生ではなかった今村先生。
でもある生徒をきっかけに「教育者」になる原点を見いだしていきます。
自分を「アンタ」と呼ぶ女生徒:慶子。
心を開かないまま卒業したが、ある日自分宛に電話がかかってくる。
ヤクザの事務所に迎えにいくことになり命がけで乗り込んで行く今村だが...

学校を見た時に表面だけじゃわからないことを今村先生は、あえて全部含めてかえようとするんですが、中々簡単にできることじゃないですね。
今回この作品は自分の半生を綴っていますが、生徒側からもどんな先生だったか昔の思い出と今も「関西京都今村組」として一緒に活躍している仲間たちの想いも一緒に描いてほしかったなぁと思いました。

学校にかかわる人すべての人、とくに学校の上の人たちに読んであらためて教育とは何なのか考えてほしい熱い作品です。

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2008.03.10 01:44 Mon l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
ガラスの麒麟 (講談社文庫)ガラスの麒麟 (講談社文庫)
(2000/06)
加納 朋子

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感想:★★★★

「てるてるあした」を読んで以来、加納先生のファンになってしまいました。
ということで躊躇することなくこの本を手に取りました。
ですが、今までの作品と違って、冒頭の切り口から鋭いミステリから入りこませて、先生の別な印象を強く感じました。

さて、そんな作品の内容は、いきなり通り魔に襲われ17歳で死んでしまった女子高生の葬儀からはじまります。

「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに。」
突然娘の直子の様子がかわり、事件の生々しい内容を語り始めます。
殺された安藤麻衣子の魂の叫びを娘が代わりに語っている?


この作品は、女の...子?向けの作品かもしれませんね。
(この言葉だけだと誤解を招く表現かもしれませんが)
繊細な人物の描写は、同じ世代や同性の方がより共感を得られると思います。
タイトルガラスの麒麟は、そんな繊細でもろく壊れやすくまた、透明で不安定な心を表しています。
6編の短編が連なって事件の真相と主人公の心の闇へとつながっていき、そして殺された安藤麻衣子の本当の心の底をみることになります。
最後に、保健室の神野先生の過去からやっと未来へと歩き出す希望が描かれいて読み手ときっと悩んでいる人たちを救ってくれます。

ガラスの麒麟 殺した犯人はだれなのか、そしてその理由は...ミステリとしても楽しめるとっても考えさせられる作品です。
この作品は1997年に刊行されたものですが、今も昔も最近の若い者の考えていることがわからないってひとくくりにしないでほしい...そんな作者の声が聞こえます。


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2008.02.24 00:38 Sun l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
山流し、さればこそ (角川文庫 も 18-1)山流し、さればこそ (角川文庫 も 18-1)
(2008/01)
諸田 玲子

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感想:★★★★

長編時代劇はあまり読まないので、物語の世界に入りずらいかなと懸念していましたが、この作品はそんな心配はする必要がなかったですネ。

タイトルにある「山流し」とは、現代の会社でいう左遷という意味です。
物語は、主人公:矢木沢数馬が、無役の小普請(こぶしん)でしたが、組頭に目をかけられ幸運にも組頭の息女を妻に迎えました。
その後はとんとん拍子に出世をしていくのですが、それをねたんだ同僚たちの仕業で濡れ衣をきせられ、甲府勝手小普請へと転出されてしまいます。
数馬がなぜ出世にこだわるか、それはちゃんと理由があって、私利私欲ではなく、祖父の時代に同じように自分の罪ではないのに、位を降格させられ責任をとって自害してしまった矢木沢家を元の家禄以上にもり立てようとしたからです。
しかし現実はうまくいかず...
時代設定は違いますが、現代に置き換えても通ずることがあり、考えさせてくれる作品です。
物語の最初はそんな甲府行き(左遷)をさせられ、これからどうしていけばいいのかつまらない顔をしている主人公ですが、徐々にかわっていくのです。
今まで出世の事しかなかった自分ですが、身体が弱いのに自分についてきた妻をはじめ家族のこと、そして自分の人生のことを考えていき...。

もう1つ物語のメインになるのが、甲府はそんな左遷させられた輩が集まる所。
武士とは思えぬ横暴な振る舞いをする松田嘉次郎をはじめ風変わりな隣人たち。
ちまたでは、天狗や怪しいお面をかぶった何者か達が町人をおそい、お金をうばう事件も発生し、昼間の賑やかな城下の町並みは、かりの風景。
しかし、隣人にも学問を教えることを夢としている小普請:武陵がいて、主人公も徐々に影響され学問を自ら学んでいこうとします。
そして、その武陵もある秘密をもっていて、松田に絡まれていた時に助けてくれた謎の多い都万と鬼退治と主人公の出世に対する考え方の変化と物語はじょじょに絡み合って、最後の結末へと向かっていきます。
逆境の中でみえてくるもの。
主人公は江戸では得られなかった大切なものがわかります。
それをぜひ読んでみなさんもわかってほしいですね。
終盤まで暗い事件もおきますが、最後の松田の言葉そして、解き明かされる秘密などを読んでいくうちに救いのようなものを感じずにはいられないでしょう。
左遷させられた主人公、甲府は「住めば都」となるか、乞うご期待。
山流し、さればこそ

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2008.02.03 18:48 Sun l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
母べえ母べえ
(2007/12)
野上 照代

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感想:★★★★

2008年最初に購入する本をどうしようか、本屋に足を運んで2時間...
なにか意味がある本にしようと考えるとうっかり選ぶわけにはいかずそのまま何もかわず本屋をでました...。
翌日もどうしようか、迷ったあげくそのまま本屋を出ました。
さらに翌日会社に初出社、届いている年賀状をみると以前映画の広告の仕事をやらせて頂いていたのですが先方の映画事業部が閉鎖になってしまい担当の方がしばらく他の事業部、たしかスーパーの店長とかになっていたような気がします。
....そして音信不通になってしまい今年の年賀状をみると松竹の映画広報部になっているハガキが届いているではないですか。
すごいですね。
夢を諦めずに映画関係の仕事を続けたんですね。
そしてその広報部として担当している映画がこの「母べえ」。
早速会社帰りにこの本を手にしました。
なんか自分も夢を諦めないぞって勇気をもらいましたね。
では、前置きがかなり長くなってしまいましたが

●本編の感想はここから...
戦時中の母を中心とした家族の生き方を描いた作品。
治安維持法のため父が捕まり、獄中にいる父と家族との手紙のやり取りが話の核になっています。
全体のお話自体はすごく短いのです。
でも、手紙の文中にある父への想いや、戦争について言葉には直接出さないけど世の中に対しての不安などが描かれていて引き込まれました。
でも戦時中でも暗いだけでなく母も気丈にそしてやさしく振るまっている姿は、今の時代にはない「強く、やさしく」といった印象を受けました。
きっと映画では、吉永さゆりさんが素敵な演技をしているんだろうなと目に浮かびました。
ここでは、本を紹介していますが、ぜひ映画の方をすすめたいですね。
今だからこそあえて山田洋次監督作品なんじゃないでしょうか。

なるへそ

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2008.01.11 23:38 Fri l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫)
(2006/09)
恩田 陸

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オススメ度:★★★☆☆


概要(本の裏表紙より)
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために──。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
物語は、二人(貴子さんと融くん)の視点から交互に進行していくんだけど、A地点からB地点までを貴子さんの視点で進み、ここで融くんの視点に切り替わりC地点まで進む場合と、A地点からB地点までを貴子さんの視点で進み、融くんの視点に切り替わったあと、時間軸もA地点まで戻る場合と2パターンあって、もともと小説などの長文を読むのが苦手な僕には、前後関係の把握が難しかった。
(昔から、RPGなんかをやってても、ちょっと時間をおくと、さっきまで何をしていて、これからどこへ行けば良いのかわからなくなっちゃうんだよね...)
まぁ、集中力や読解力が足りないから悪いと言われればそれまでかもしれないけどね...結局2度読み返した。(苦笑

ただただ歩いているだけのようで、実は何かこう、大切な何かへ向かって歩んでいるような、そんな感じがした。

一番印象に残ったのは、「あたしには関係のないことをいつまでも根に持ちやがって。」という貴子さんの台詞。
普通に考えれば貴子さんは正論なんだけど、これがいざ、自分自身のこととなると判断ミスを犯す。

実は僕の置かれている立場は融くんに近いものがある。
どうやら僕には異父兄弟(兄妹)というものがいるらしい。
幼い頃に多額の借金と一緒に僕ら兄弟を捨てた人間が、再婚して、大きな家を買い、子供を作り、叔父の勤める会社にパートとして偶然現れていたらしい。
その事実を知ったのは、高校三年の春...祖母の通夜の後で、ちょうど進学したいという僕と、お金がないからと就職以外決して認めなかった父親とが対立していた頃で、あの時はホントに「お前のせいで貧乏と罵られて、人生まで縛り付けられて、挙句に貴様は玉の輿かよっ!?」とあちこちに当り散らしたのを憶えている。(反省
その時に強く思ったのが、絶対にあいつの子供を自分の弟(or妹)とは認めないってこと。
今になると何でそう思ったのかはわからないけど、たぶん、嫉妬だったのかな...って思う。

だからってわけじゃないけど、融くんが、貴子さんの母親だけじゃなく、貴子さんに対しても良くない感情を持ってしまうことが痛いほどわかる。(気がする
嫌いなヤツの好きなものが、何となく嫌いに思ったことに近いのかな...
最初は貴子さんの母親だけが嫌いだったのかもしれないけど、ちょっとカテゴライズすると貴子さん母娘となる。
本来このカテゴライズは間違っているんだけど、現実でも近い問題が起こってる。

(あえて件名は伏せるけど)戦時中の日本軍がおこなったことにたいして、未だに日本人全体が悪く言われてる。
でも、実際に日本人を非難している人たちの中で、それが既に過去の人たちであり、今の若い世代が悪いわけではないと、少なからず頭の片隅では理解している人がほとんどなんじゃないのかな??
ただ、同じ「日本人」としてカテゴライズしてしまうから、今も昔も日本人は...みたいな負の感情が出てくるんじゃないのかな。
だからといって、今の人達(日本人)がまったく何も感じる必要がないとも思わないけどね...

そういう意味では、一個人として融くんの気持ちも理解できるし、日本人として貴子さんの気持ちも理解できる。(ような気がする

話しはだいぶそれちゃったけど、ホンの少しでも、融くんと貴子さんに進展(良い変化)があったのは、嬉しかった。
どうしても僕自身を融くんに置き換えてしまって、僕も、いずれはまだ見ぬ(弟か妹かもわからない)兄弟と、他愛もないことで笑ったり怒ったりする日が来るのかなぁと思ってしまう。

あぁ...そういえば僕も、小学生の時に徒ち歩き大会とか言って31kmを6時間ちょうどで完歩したっけ。(苦笑

Lapis Lazuli
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2008.01.10 23:31 Thu l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
閉鎖病棟 (新潮文庫)閉鎖病棟 (新潮文庫)
(1997/05)
帚木 蓬生

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感想:★★★★★

久々に重いけど、でもその重さの分内容のある作品を手に取った気がしました。
感動しました。そして考えさせられました...。
最初から5分の3くらいまでは、病院の悲惨な状況や患者の描写など、中々話に入りずらい部分もありました。
でも、読み進めていくうちにそういった状況や病院にいる人たちの悩みとかも共感できてきて、そして後半へかけて「ある事件」がきっかけに物語は、ある結末へと流れていきます。
後半は、読み入ってしまいました。

あらすじは...
とある精神科病棟。
重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。
その日常を破ったのはある殺人事件だった...。
彼を犯行へと駆り立てたのは...
現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。
淡々としつつ優しさにあふれる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。

この作品の良さは読んでもらう以外にはつたわらないかもしれません。
この作品をよんでわかったことは、病院にいる人たちは、「患者という扱いではなく同じ人間としてみてほしい」という気持ちをもっている、そんな叫びを常にもっているということです。
一人の精神科の患者が何か罪を犯しても病院にいる全員が同じではないということ。

著者はこの作品を通してそんな患者たちに理解という名の温かい手を差し伸べている...
そんな気がした本当に素敵な作品でした。

なるへそ

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2007.12.25 00:11 Tue l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲