ガラスの麒麟 (講談社文庫)ガラスの麒麟 (講談社文庫)
(2000/06)
加納 朋子

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感想:★★★★

「てるてるあした」を読んで以来、加納先生のファンになってしまいました。
ということで躊躇することなくこの本を手に取りました。
ですが、今までの作品と違って、冒頭の切り口から鋭いミステリから入りこませて、先生の別な印象を強く感じました。

さて、そんな作品の内容は、いきなり通り魔に襲われ17歳で死んでしまった女子高生の葬儀からはじまります。

「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに。」
突然娘の直子の様子がかわり、事件の生々しい内容を語り始めます。
殺された安藤麻衣子の魂の叫びを娘が代わりに語っている?


この作品は、女の...子?向けの作品かもしれませんね。
(この言葉だけだと誤解を招く表現かもしれませんが)
繊細な人物の描写は、同じ世代や同性の方がより共感を得られると思います。
タイトルガラスの麒麟は、そんな繊細でもろく壊れやすくまた、透明で不安定な心を表しています。
6編の短編が連なって事件の真相と主人公の心の闇へとつながっていき、そして殺された安藤麻衣子の本当の心の底をみることになります。
最後に、保健室の神野先生の過去からやっと未来へと歩き出す希望が描かれいて読み手ときっと悩んでいる人たちを救ってくれます。

ガラスの麒麟 殺した犯人はだれなのか、そしてその理由は...ミステリとしても楽しめるとっても考えさせられる作品です。
この作品は1997年に刊行されたものですが、今も昔も最近の若い者の考えていることがわからないってひとくくりにしないでほしい...そんな作者の声が聞こえます。


なるへそ

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2008.02.24 00:38 Sun l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲
僕はここにいる (講談社X文庫 いI- 1 ホワイトハート)僕はここにいる (講談社X文庫 いI- 1 ホワイトハート)
(2007/12)
飯田 雪子

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感想:★★★☆☆

心に染みる、せつなく美しいファンタジー。

ちょっと落ち込んでいた時に手に取った作品。
「ブログが涙するイチオシ本」という帯をみて興味を持ちました。

おはなしは...

中学に入学する前、おじいちゃんが亡くなってお葬式にでていた主人公:凉香。
葬儀の中、おばあちゃんを探すと縁側にすわって庭をみています。
瓶を鞄に詰め込んで庭を横切っている不思議な人影をみたというのです。
その時は、おばあちゃんが混乱しているのかと話を信じなかった主人公ですが、家族と父の実家に引越して一緒に暮らすことになり、しばらくたった頃から母にもその姿がみえるようになり、そして大切な人形たちを捨てられ、哀しみいっぱいになった主人公の前にも不思議な雰囲気を漂わせる「翠」と出会うのでした。
彼は哀しい色を反転させ、また自然に戻す仕事をしている反転師だったのです。
新しい学校生活は幸せいっぱいのはずだったのに、それは凉香だけだったのかもしれません。
いつしか気づいてみると母がいつも不機嫌な様子になっていて父も遠距離通勤で毎晩かえりがおそく家の中の家族の様子が険悪な雰囲気になってしまっていたのです。
東京に住んでいた時のように家族の色を取り戻すために決心します。
今まで、いいたいことが中々いえない内気な主人公ですが、徐々に元からもっている自分の「力強さ」が成長し、家族も再生していくファンタジー。
凉香の恋する気持ちも重なり本当の愛することを教えてくれます。


人はどんなに哀しみを背負っても乗り越える力があるということを教えてくれます。
これから中学、高校と新しい生活を迎える人たちには、とくにイチオシ!!

僕はここにいる 挿絵の登場人物はあくまで自分の勝手なイメージです。
この作品にでてくる「翠」は、読み手自身からみて自分を助けてみまもってくれる理想の人っていうことかもしれません。
(女性の視点からみてね)


なるへそ

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2008.02.23 23:58 Sat l いやされる l COM(0) TB(0) l top ▲
愛と、死を見つめて (竹書房文庫)愛と、死を見つめて (竹書房文庫)
(2004/08)
イ ハン、高橋 千秋 他

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感想:★★★☆☆

最近ベタな恋愛小説を紹介していなかったのであえて以前読んだ作品を引っ張り出してきました。
この頃は自分の中で韓国作品旋風がふいていた時でしたね。

そんな気になる作品の内容は...

ホスピス病院の医師であるオソンとメイクアップ・アーティストのヨンジョ。
オソンは職業柄、常に死と向かいあっておりいつも見送ることができず、人との関わりを持つ事を不安に思っています。
そんな中、二人は偶然に出会いお互いの境遇を知りながら徐々に距離を縮めていきます。
いつも明るく人気者のオソンですが、彼女は実は末期癌で残り少ない人生でも幸福に過ごしたいと願っています。
そして主人公:オソンの胸にもその気持ちが通じ、限りある時間の中で二人は死を受け入れるのですが、残念ながら彼女に残されている時間は少なく永遠の別れを迎えてしまいます。
しかし死後、奇跡的にオソンは別の形でヨンジョと再び出会います。
その出会いとは...(ここでは内緒です。一番いいところなので)

この頃の作品としては、タイトルから「死」を連想させてしまうのでめずらしいと思います。
しかしタイトルとは、うってかわってヒロイン:ヨンジョの明るさと軽やかなテンポで進む物語が重苦しい雰囲気ではなく、愛というテーマが十分に伝わってくるし「永遠の別れ」というテーマを軽やかに受け止められる作品になっているのは、すばらしいと思います。

韓国作品だけに「純愛」をテーマに描かれています。
わたくし論になりますが、現実で恋愛の障害になるものってすごく生々しいものばかりで、つかれちゃったりすることが多いし後味が悪いものばっかりだと思うんですね。
(語れるほど経験抱負じゃないので客観的にみてということで)
でも韓国作品の語る「愛」は純粋だし、二人の恋愛の障害は、どうしようもない事実が立ちふさがって純粋に心配したりハラハラしたりできるんですよね。
障害っていうのは、病気(末期癌や白血病他、手の施しようがないほど手遅れな病気)や身分違い、血縁関係など。
記憶喪失もあったっけ。
どれも現実じゃありえないんですけどね。(笑)
そんな設定は古い感じもするけど、登場人物たちの本音は結構現代に生きる人たちとそんなにかわらない、親しみやすさがいかされていると思います。
ちょっと純愛韓国ドラマをみたくなった人にオススメです。

愛と、死を見つめて 最後にヒロイン:ヨンジョの深い意味の台詞を紹介しますネ。

ねぇ、知ってる?
あなたのうしろ姿をじっと見送っている人は、あなたのそばにいたいと願っている人だってことを。


なるへそ

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2008.02.17 13:20 Sun l ときめく l COM(0) TB(0) l top ▲
天下り酒場 (祥伝社文庫 は 8-2)天下り酒場 (祥伝社文庫 は 8-2)
(2007/10)
原 宏一

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感想:★★★★★

現代社会をおもしろく風刺している短編作品集。

表題の天下り酒場からはじまり、
資格ファイター
居間の盗聴器
ボランティア降臨
ブラッシング・エクスプレス
ダンボール屋敷

の6編でどの作品も視点がおもしろい。
特に気に入っているのが、天下り酒場と居間の盗聴器の2編。
「天下り酒場」は、経営難に陥っている居酒屋の店長が、友人から頼まれて定年退職した役場の人間を再雇用先として、渋々経理担当という名目で受け入れます。
最初は民間の仕事が勤まるか半信半疑だった店長でしたが、役場で鍛えた経理の仕事をお店にも役立て、コストカットから店の経営までアドバイスをしていき、2号店、3号店と事業を拡大していくというお話で、事業を拡大していった行き先は...
なんとも現在の役人をこの短編ではおもしろく、ちょっと毒舌な感じで風刺しています。
「居間の盗聴器」は、サラリーマンのお話で、最近仕事も家庭もなんかうまくいってないと感じていると、あるとき居間に盗聴器がしかけられているのを発見してしまいます。
まさか妻が離婚しようとしかけたのか、それとも最近仕事がうまくいっていないので会社がリストラをしようと人事部が密かにしかけたのか、一人娘にストーカーがついたのか!?
あらぬ不安を拭うため探偵事務所に密かに依頼し、犯人探しをはじめる。
妻がしかけたなら、怒らせないように、家にかえったらいつもの行動や言いたい事を我慢してサービスし、ご機嫌をとって、会社の人事部がその気なら、会社に朝早く出社して仕事は即決、部下にまかせて犯人をつきとめるまでは、仕事のことはおいといて...
とやっていくうちに主人公のまわりの環境がなんだかいい方向にかわっていって…
この作品は家族をもつサラリーマンを以外な感じで風刺していいますネ。

天下り酒場 どれもおもしろいし、短編なのに内容は個性豊かな作品で、印象に残る作品でもあります。 ちょっとたった後でも「〜こんな感じのおもしろい本があってね」って確かにオススメできてしまいます。
息抜きにぜひっ。


なるへそ

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2008.02.16 15:53 Sat l おもしろい l COM(0) TB(0) l top ▲
てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2)てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2)
(2008/02)
加納 朋子

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感想:★★★★

「泣かずにはいられない小説」たしかに...
不覚にも物語のクライマックスを読んでいて本気涙を流してしまいました。
涙腺が最近もろくなったのかもしれません。
歳をとったせいか、いやいやこの作品がそれぐらいよかったってことです。
さてこの作品は、前回紹介した「ささらさや」の姉妹編といっていいでしょう。
今回も前作以上に、作品中に「優しさ」があふれています。

あらすじは、
借金を作って夜逃げするはめになった主人公:照代。
せっかく高校受験をして念願の学校に受かって新しい高校生活を思い描いていたのに、見事に夢はなくなり周りの人たちも信用できなくなり心を閉ざしてしまいます。
母の遠い親戚という久代ばあさんの所に身を寄せる事になり、佐々良での生活がはじまります。
佐々良の生活では不思議なことが起こります。
親から渡されたプリペイド携帯に
「てるてる あした。きょうはないても あしたはわらう。」
その不思議なメールが届き、予知夢ができる?という1つ上の偉子と仲良くなったり、そして久代ばあさんの家で、小学生の少女の幽霊をみてしまったりと落ち込んでばかりもいられません。
はたして主人公は、心を開く事ができるのか、また親と暮らせるようになれるのか、口うるさいけど実は照代のことを子供のように心配していると思う?久代ばあさんと、前作の主人公サヤとエリカをはじめ、まわりの人たちとふれていくうちに照代の心は....
最後に照代を包む温かい真実に、涙してしまったのです。
ぜひかわっていく主人公をみてください。
そして読み終わった後、自然にこの作品に対して「どうも ありがとう」といっていることでしょう。

気に入っているセリフを最後に紹介しますね。
久代さんは口うるさく説教好きと思わせる気もしますが、本を読めといっています。
その言葉が...

てるてるあした 本はいいよ。
特に、どうしようもなく哀しくて泣きたくなったようなとき、本の中で登場人物の誰かが泣いていたりすると、ほっとするんだ。
ああ、ここにも哀しみを抱えた人がいるってね。
誰かが死んだとか、男に振られたとか、人生に絶望したとか、登場人物がどんなことに悩もうと関係ない。
ああ、ここにも泣いている人がいると、単純にほっとするんだ。
小説なんて絵空事で嘘っぱちだから、現実に誰かが泣いているわけじゃないって我に返ることだってある。
それでもやっぱり、ほっとするんだ。
泣きたくなるようなことがあったら、試してごらんよ。


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2008.02.15 23:38 Fri l いやされる l COM(0) TB(0) l top ▲
ささらさや (幻冬舎文庫)ささらさや (幻冬舎文庫)
(2004/04)
加納 朋子

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感想:★★★★★

こんなに「優しい」と思える作品に出会ったのは、多分本書がはじめてだと思います。
それぐらい心もあたたまる作品でした。
以前ドラマ化されたということですが、そんな話題抜きで読んでほしい作品です。

あらすじは、
突然不慮の事故で夫を失ったサヤ、両親はすでになくなり、力になってくれる人たちもいません。
残った生まれたばかりの息子:ユウ坊を抱いて途方にくれてしまいます。
そんなサヤを近くで見守っている人がいます。
それは、事故でなくなった夫だったのです。
幽霊となって見守っているのです。
物語はそんなユウ坊を奪い取ろうとする義姉夫婦、夫の父親たちからも逃げるため、唯一、よくしてくれた叔母を頼りに埼玉の「佐々良」に引越しを決意します。
もうその叔母は亡くなってしまったんですが、残してくれた家にユウ坊と一緒に住む事になります。
でも少女のように頼りない主人公:サヤは一人で生きるにはあまりに力を出す事ができません。
いろいろな事件やトラブルに翻弄されてしまいますが、そんな時に亡き夫が他人の身体をかりて助けにきてくれます。
「馬鹿っサヤ」っといって、サヤのやさしすぎる性格を愛おしながら手を差し伸べるんです。
でも必ず他人の身体をかりることができるわけではなく、夫の姿をみることができる人限定でしかも1回しか乗り移る事ができないのです。
だから、ここだって時に亡き夫がとんでくるのです。
佐々良では3人のお婆ちゃんズたちとの出会い、同じような境遇のエリカとその息子ダイヤといろいろな人達との出会いと育児をしていくうちに、いつも涙を零していたサヤは笑顔をだせるようになっていきます。
そして最後に夫との永遠の別れを迎えるまでの愛しくて切ない日々の幕切れは、読んでいてグッと訴えるものがあります。

男性が読むとこの夫の立場で、頼りないサヤをつい守ってやりたいと思って読んでしまうし、女性だったら共感して「元気だせっ」てエールを送ってしまうことでしょう。

最後がわかっているから切ないです。
でも暖かくて素敵な物語でした。
どんなにつらい事、悲しい事があってもいつか笑える日々がくることを本書は主人公:サヤを通して教えてくれました。
これから親になる人にはとくに手に取ってほしいです。

ささらさや あと、表紙の柔らかい絵のイメージは主人公の性格を表しているような気がします。
一度、佐々良にいってみたいって読んだ人は思う事でしょう。


なるへそ

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2008.02.14 01:05 Thu l いやされる l COM(0) TB(0) l top ▲
精霊探偵 (新潮文庫 (か-18-9))精霊探偵 (新潮文庫 (か-18-9))
(2008/01)
梶尾 真治

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感想:★★★★

帯にあった言葉が大変魅力的に写り、つい手に取ってしまいました。

「これほど幸福などんでん返しをあなたはまだ知らない」
ちょっぴり不思議でほんのり切ないスピリチュアル・ミステリー

えっ?どんな幸福な結末があるんだろう...。
すごく気になって頭から離れなくなってしまいました。
そんな想いを抱きながら読み始めると、作品のタイトルの内容から想像する以上の意外な展開が次から次へと運んでいって、その展開の意外さと主人公の結末に驚かされてしまいました。
だいじょうぶです。
ここでは内容はほとんど語りませんから(笑)
でも、入口の部分だけせっかくなので簡単に紹介させて頂きますね。

事故で妻の那由美を無くした主人公:新海は、その事故をきっかけに人の背後霊が見えるようになってしまう。
事故のショックでしばらく気力がなくなっていましたが、喫茶店「そめちめ」のマスター夫婦に心配されながら、不思議な力があることを知っていて社会復帰のきっかけをかねて人探しの仕事をするように頼まれてしまいます。
マスター夫婦の背後霊は主人公の両親が背後霊に憑いていて、その影響で親同然に心配されてるわけです。
最初は探偵のまねごとで始めたのですが、妻がもっていた不思議な銀のカードの存在やあやしい組織が絡んできたりと、徐々に熊本県全体のある事件へとつながっていきます。
主人公はそれでも亡き妻の背後霊に出会えるかもしないと再会を祈りつつ、人探しを続けていきます。
物語の最初で虐待にあっていた小夢ちゃんを助けたり、ホームレスだった荒戸さんの人生を幸福に導いたりと、魅力的な登場人物たちと不思議な霊たちとの存在と、物語をより素敵にそして予想を見事に裏切ってくれました!
あまり触れられていないのですが、主人公は双子なんです。
自分も双子なのでちょっと親近感がわいてしまいましたね。
この作品を読んでほしいんですけど、これ以上内容をかいてしまうと読んだ時のおもしろさを削っていってしまうような感じになってしまうのであらすじの紹介はここまでにしときましょう。

最後に本書の内容とは関係ないのですが、作品解説の内容で

あなたには、もう一度逢いたい、けれども逢えない、そんな人がいますか?
失ってしまってから、それがかえがえのないものだった、と後悔したことがありますか?
イエス、と答えた人は、この本をレジへ。
ノー、と答えた人も、やっぱりこの本をレジへどうぞ。
ノーと答えた人でも、本を読み終える頃には、きっと思い出せるはずです。
自分にも、かけがえのないものがある、守りたいものがある、ということを。

なんか説得力あるなぁって思いました。
「思い出」の美しさを今回も魅せてくれたカジシンの作品、オススメです!!

精霊探偵 ※この絵の内容は本書に登場するものたちです。
 でも、どういう部分で、出てくるかは秘密。


なるへそ

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2008.02.13 23:01 Wed l おどろく l COM(0) TB(0) l top ▲
ヴァージン・ロード (下) (角川文庫 (あ6-140))ヴァージン・ロード (下) (角川文庫 (あ6-140))
(2008/01)
赤川 次郎

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感想:★★★★

主人公:典子の気になる結婚の行方はどうなるのか!?

簡単にあらすじを紹介すると、友人:洋子に勧められて行ってみた結婚紹介所。
ある所ではコンピュータの膨大なデータを照会し、別の所ではビデオを使う。
紹介所で様々な人を勧められて、叔父に紹介された男性とも会う事になって...。
そして後半には、川野さんとその子供早百合ちゃんも登場して上巻の後半にあったことを主人公へ詫びにくるシーンもあり、最後の最後まで典子は結婚できるのかその行方がほんとわかりません。
もしかしたら、結婚しないのかなって思ってしまうくらい最後まで弟の結婚式の準備や、以前からきていた匿名の手紙についてなどドタバタ劇が続きます。
でも主人公の魅力は十分伝わってきます。
つねに周りの人たちの事を優先に考えて行動する姿は読者を引きつけることでしょう。
巻末の方に、自問自答する部分があるのですが相手のことばかり気にして、本当の自分がどうしたいのか、自分でもわからなくなってくるのだ。
こんなだれにでも1度は思った事があるようなフレーズが要所要所でてくるんですが、主人公を応援しながら、いつしか自分と主人公を重ねあわせて読んでしまいます。

最後に印象的な言葉がいいところで、でてきます。
この言葉を読んだ時、読者のみなさんは新しい1歩を踏み出す勇気をきっともらえることでしょう。

「人間は、一生に一度くらい、子供のように、それとも映画のヒロインか何かのように、馬鹿げたことをやったっていいんじゃないだろうか?」

最後に心もなんだかハッピーになれる素敵な作品でした。
本書は1985年6月に刊行されたものでノスタルジィな気分も味わえますヨ。

なるへそ

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2008.02.12 22:39 Tue l ときめく l COM(0) TB(0) l top ▲
奈緒子 (小学館文庫 (も3-3))奈緒子 (小学館文庫 (も3-3))
(2008/01/07)
坂田 信弘、百瀬 しのぶ 他

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感想:★★★☆☆

ビックコミックで連載されていたコミック「奈緒子」の原作映画のノベライズ化。

コミックも途中まで読んでいたんだけど、この作品も主人公:雄介の走ってくる時の息づかいが聞こえてくる作品でしたね。
全力で走って苦しいはずだけど、でも受け取ったタスキがその苦しさを救ってくれる、そんな気持ちが伝わってくるあつい作品です。

物語は、長崎県波切島。
奈緒子は喘息を治すため島にいき、走る事が大好きな少年・雄介と出会いました。
しかし運命は皮肉なもので船で沖へ出た日、誤って海に転落した彼女を助けようとして雄介の父が命を落としてしまいます。
「父ちゃんを返せ!」雄介から詰め寄られ、奈緒子はずっと罪の意識に苦しんでいました。
それから6年の歳月がたち、雄介は日本海の疾風<かぜ>と呼ばれ、高校陸上界のトップランナーになっていました。
雄介の走る姿をみているだけで奈緒子は胸の高鳴りを感じずにはいられません。
あるレースで雄介の姿を近くでみたいと思い、偶然にも給水係になり、雄介にボトルを渡す役を無理矢理頼まれることに、それを知らない雄介は彼女のボトルを手にする事ができず、そのレースは脱水症状をおこしてしまいます。
父が死んでから親代わりでもあった波切島高校陸上部顧問の西浦先生は、奈緒子と雄介の偶然の再会を運命と感じずにはいられませんでした。
親友だった雄介の父のためにも、雄介のためにも二人の止まった時間を動かそうと彼女を夏休みの期間だけ雄介の陸上部のマネージャーになってくれるよう、手紙を出します。
手紙を受け取った奈緒子は悩みます。
いくべきかどうか、そして忘れたと思っていた雄介の奈緒子への想い、そして、父親かわりだった顧問の西浦の体調の異変と原作の内容を無理無く絡めて物語は、長崎県高等学校駅伝競走大会へと進んでいきます。
大会まで個々のメンバーが雄介へとタスキをつなごうとする必死の姿がうかんでくるし、そのタスキを守ろうとする雄介の姿も魅力的に写るでしょう。

雄介と奈緒子の止まった時間は流れる事ができるのか、そして勝利のタスキはわたることができるのか、駅伝の本当のおもしろさが伝わる手に汗にぎる作品でした。
自分はかわっていたと思っていた主人公が、あの事故から実は何もかわっていなかった、そんな事実を奈緒子と一緒に走っていくうちに受け入れていく姿を映画ではみてみたいです。
2008年2月16日 映画「奈緒子」 全国ロードショーです。
映画のオフィシャルサイトはこちら:http://www.naoko-movie.com/

なるへそ

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2008.02.05 00:01 Tue l あつくなる l COM(0) TB(0) l top ▲
ヴァージン・ロード 上 (1) (角川文庫 あ 6-139)ヴァージン・ロード 上 (1) (角川文庫 あ 6-139)
(2008/01)
赤川 次郎

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感想:★★★★

電車でカバーもせずにこのタイトルの本を読んでいて自分なんかどんな人って思われただろう(笑)

さて、赤川次郎の作品にしてはめずらしいのかな。
物語は終始、主人公:叶典子、29歳の結婚するまでにスポットをあてた作品。
まだ上巻しか読んでいないんですけどネ。

ストーリーは、英文タイピストとして働くごく普通のOL。
時代設定はちょっと古いです。
携帯がない時代かな。
会社の同僚の結婚式から疲れてアパートへと帰ってくるとアパートの大家がお見合いの話をもってきて無理矢理、気乗りしないお見合いを受ける事になるのです。
さらに「貴女を見ている」という差出人不明の人からの手紙と、弟たちの結婚相談と、主人公のまわりには結婚という名の騒がしい難題がいくつもふりかかっていきます。
主人公は、外見も普通の女性だけど、中身は実は魅力ある女性だったりするんです。
人並みに笑ったり、おこったりしているのですが、読んでいる読者たちはきっとそんな密かな彼女の魅力と展開に引き込まれることでしょう。
ついつい応援したくなるのが、すごく奥手なところです。
自ら進んで男性にアタックするのも苦手だし、かといって親や周りが進めるお見合いの話にのるのも気を使うしと悩みのタネは終始着きません。
上巻の終盤では、結婚相談所にいき同僚の洋子が結婚してしまい、うれしいような寂しいようなと複雑な気持ちも迎え、下巻へと物語は進んでいきます。

ヴァージン・ロード ウェディング ドタバタエンターテインメント
主人公はいったいだれと結婚するのか、下巻がすごく気になりますっ!

余談ですが、アマゾンのレビューを読むと大家がもってきた縁談の話の展開がわかってしまうので、見ない事をおすすめしますヨ。

なるへそ

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2008.02.04 00:01 Mon l おもしろい l COM(0) TB(0) l top ▲
山流し、さればこそ (角川文庫 も 18-1)山流し、さればこそ (角川文庫 も 18-1)
(2008/01)
諸田 玲子

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感想:★★★★

長編時代劇はあまり読まないので、物語の世界に入りずらいかなと懸念していましたが、この作品はそんな心配はする必要がなかったですネ。

タイトルにある「山流し」とは、現代の会社でいう左遷という意味です。
物語は、主人公:矢木沢数馬が、無役の小普請(こぶしん)でしたが、組頭に目をかけられ幸運にも組頭の息女を妻に迎えました。
その後はとんとん拍子に出世をしていくのですが、それをねたんだ同僚たちの仕業で濡れ衣をきせられ、甲府勝手小普請へと転出されてしまいます。
数馬がなぜ出世にこだわるか、それはちゃんと理由があって、私利私欲ではなく、祖父の時代に同じように自分の罪ではないのに、位を降格させられ責任をとって自害してしまった矢木沢家を元の家禄以上にもり立てようとしたからです。
しかし現実はうまくいかず...
時代設定は違いますが、現代に置き換えても通ずることがあり、考えさせてくれる作品です。
物語の最初はそんな甲府行き(左遷)をさせられ、これからどうしていけばいいのかつまらない顔をしている主人公ですが、徐々にかわっていくのです。
今まで出世の事しかなかった自分ですが、身体が弱いのに自分についてきた妻をはじめ家族のこと、そして自分の人生のことを考えていき...。

もう1つ物語のメインになるのが、甲府はそんな左遷させられた輩が集まる所。
武士とは思えぬ横暴な振る舞いをする松田嘉次郎をはじめ風変わりな隣人たち。
ちまたでは、天狗や怪しいお面をかぶった何者か達が町人をおそい、お金をうばう事件も発生し、昼間の賑やかな城下の町並みは、かりの風景。
しかし、隣人にも学問を教えることを夢としている小普請:武陵がいて、主人公も徐々に影響され学問を自ら学んでいこうとします。
そして、その武陵もある秘密をもっていて、松田に絡まれていた時に助けてくれた謎の多い都万と鬼退治と主人公の出世に対する考え方の変化と物語はじょじょに絡み合って、最後の結末へと向かっていきます。
逆境の中でみえてくるもの。
主人公は江戸では得られなかった大切なものがわかります。
それをぜひ読んでみなさんもわかってほしいですね。
終盤まで暗い事件もおきますが、最後の松田の言葉そして、解き明かされる秘密などを読んでいくうちに救いのようなものを感じずにはいられないでしょう。
左遷させられた主人公、甲府は「住めば都」となるか、乞うご期待。
山流し、さればこそ

なるへそ

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2008.02.03 18:48 Sun l 考える l COM(0) TB(0) l top ▲