感想:
★★★★☆
日本ホラー小説大賞受賞作
ホラー小説ときいて、単純におばけがでるとか、呪いのお話とかそういったいわゆるファンタジー色が強いものを想像してしまいましたが、この作品は、そうではありません...。
全体的に物語は静かに流れ、そして現実へ戻れないかもしれないという怖さを体験する事ができます。
透明な文章でいつの間にか気づいたら入ってはいけない異界の世界へと足を踏み入れていることに気づき、もう気づいた時には手遅れなんです。
どうしたら、元の世界へ戻れるのか、小説中の登場人物と一緒にその恐怖を味わってしまう...そんな不思議でまさに日本のホラーを感じる作品です。
子供の頃夢中になって遊んで、気づくと外は真っ暗で、その闇が自分に迫ってくるんじゃないかって思ったあの気持ちを思い出しました。
懐かしいって表現は間違っているかもしれないけど、でも誰でも感じたようなあの感覚です。
あらすじは、
妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。
ここでは望むものが手に入る。
小学生の時に夜市に迷い込んだ佑司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。
野球部のヒーローとして成長した佑司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。
そして今夜弟を買い戻すため、佑司は再び夜市を訪れた...。

あれほど怖い思いをしたのに読後感は、表紙のような美しい余韻が残ってしまうのもこの作品の魅力だと思います。
なるへそ